わだちの軌跡(2)

2.障害のある人たちの労働環境

まず、昨今の障害のある人たちを取り巻く労働環境について触れておく。
障害福祉サービス分野では、就労支援事業所が雨後のタケノコのように増えている。ときどき電車やバスで就労支援事業所の広告を目にする。ただ、「高い工賃」「あなたの夢を実現する」ということをうたい文句に障害のある人たちを募集している。
一方、企業では雇用率を稼ごうとして、特例子会社を作り障害のある人たちを雇い、本業の補助的な業務をさせているところが多い。しかも特例子会社の半分以上が「補助金なしでは赤字になる」ということを聞く。かつて、先輩に「一般企業が障害のある人たちを雇うのは社会貢献のためである」と言われたことがある。まさしくその通りである。
身体障害のある人たちに限っては、ものづくりは不可能に近い。事務作業もできる人たちはいるけれど障害のない人たちに比べどうしても劣る。よって、多くの企業で身体障害のある人たちが能力を発揮できる仕事を未だに見いだせていないのが現状だと思う。
これは、企業側も見いだそうとしてこなかったことに問題がある。一方、障害のある人たち側もどういった仕事ならできるかということを考え提案してこなかったことに問題がある。

つづく

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