トイレ3番勝負

ここは貸コテージ(キャンプ場の名前は伏せておこう。あまりいい話ではないから…。)のトイレ。ご丁寧にも車いすマークがドアに貼ってある。車いすはこっちを使えということかなぁ。まあ、トイレは奥の奥にあって、車いすでは使えそうにないが。

第1戦 入室

まず、第一関門。開き戸である。なかなか同じドアの板に車いすマークと蝶番、ノブが存在するというのは珍しい。しかも「引く」タイプの開き戸だ。大変難儀なタイプである。

通常、開き戸はノブをねじることでドアの板が解放される。仕組みに関してはご存知だろう。ドアのノブをねじらない限り壁からは解放されない。そして、せっかくドアのノブをねじっても、手を離すとなぜかノブの位置が戻る。ばねの力か何かは知らないが、とにかくドアの板を動かすには、ドアノブをねじったままでいなくてはならない。

ドアクローザーという文明の利器

しかも、このドアにはドアクローザーという文明の利器がついている。つまりドアを開けたままにしておくことができず、自動的に扉が閉まるのだ。ドアのノブは閉まるのは自動的である。どういう仕組みまでは言うつもりはないが(知らないわけではないぞっ)、とにかくドアは物理的に止めない限り閉まってしまうのだ。そりゃ、トイレのドアを開けっぱなしにされたら臭くてたまらない。

つまりは、ここで必要な作業は以下のとおりである。

  1. ドアのノブをねじり、ドアの板を動かせる状態にする。
  2. そのノブのねじった状態を維持しながら、少し下がってドアの板を開放状態にする。(ドアを引かないと動かない)
  3. すぐさま前進し、ドアを全開放状態にする。そしてその状態でドアの板を物理的に止める。
  4. ドアに対してまっすぐトイレに入る。(ドアの幅は車いすギリギリである)
  5. 入室後、物理的に止めていたドアの板を自由にする。(すると自動的にドアは閉まる)
  6. その後、ドアに鍵をかける。

これを上半身だけの作業で済まそうとすると、手が足りない。つまり、ドアのノブを握ったまま車いすを動かす必要があるのだ。

しかし、ワタクシは運のよいことに足が使える。しかも、乗っているのは電動にもなる車いすである。車いすは足で動かせる。(ワタクシはこれを「足スト」と呼んでいるが、全く浸透していない)1でドアのノブに手をかけ、2で足ストを使って車いすを動かせばよい。3では、優秀な(?)押し売りセールスマンのように足を使ってドアが閉まらないようにする。そして物理的にドアを止めるのは自分自身。閉まる前に車いすをドアの内側にもっていけば、トイレに入るときにはドアは開放状態である。そしてトイレに入ったらドアは自然に閉まる。鍵をかけるのはどうしようか悩んだが、どうせこのトイレを使おうとするのは仲間内では自分1人だけであることから鍵はかけないことにした。ま、見られて困るのは見た方だし。(見せてまわるつもりもないけど)

第2戦 移乗

ドアも閉まってトイレに入る。ほ、細長いっ。

細長い!!

しかしトイレに入ったら、目の前に便器がある。前にも後ろにも動けない。車いすでトイレに入ったら便器に座るのに「回れ右」をする。回転するのには足場が心もとない。バレエダンサーのようにその場でくるっと回れれば全く問題はないのだが、ワタクシはバレエをかじったこともないので、手すりを使って移動する。ただ片側にしか手すりがないので、気を付けないとそのまま倒れる。体の向きを変える過程で、体重をかけるのを左側から右側に帰るという高等テクニックが必要となる。

もう一方にも一応手すりはある。あるにはあるのだが、奥の壁にL字型の手すりが設置されている。これはいったいどうやって使うのだろう。まずその手すりのそばに車いすでは行けない。車いすではなくても、いったいどこに移動するための手すりなのだろうか。まさか、用意した手すりが余ったのではなかろうか、それを取り付け業者がサービスとか言って設置したのではなかろうか。

第3戦 退室

部屋に入ったら、出なくてはならない。用事もないのに、トイレにずっといるわけにはいかない。トイレにずっと入っているとすれば、それは籠城か立てこもりである。そんなことをしても、相手にされず置いてきぼり食らうのは必至である。

トイレの中はドアの外よりもちょっと低くできている。まあ何かこぼれたとしても廊下側に流れ出ないようにするためだと思うが、そのために便器に向かって若干下り勾配がついている。さすがに車いすマークを貼ったてまえ、段差にするのははばかられたか。ということは、トイレから出るときは上り坂である。

この上り坂が曲者である。まず、車いすを手で操作するのには力が足りない。それに右肩甲骨の後ろあたりにドアノブが来ている。ドアノブをねじりながら車いすを手で動かすにはやっぱり手が足りない。

なら「足スト」を使うか。それも難しそうだ。便器とドアの距離が近く、車いすがいっぱいいっぱいに置いてある。これでは足の置き場が十分でなく、上り坂を克服できるほど、足に力をこめられない。さらにトイレの床が「いかにも」といった感じで、直接踏むというのははばかられる。(ま、その「いかにも」というトイレの床に入った車いすで、廊下とか部屋に入っているのだから、無意味な心持ちだけど…)

車いすに乗るときには、こちらを向く

最終手段、電気の力を頼ろう。この車いすは電動にもなる。幸い、そのコントローラーは右側についている。そしてドアのノブも右側後方にある。つまり、車いすに乗り移って、ストレッチみたいな姿勢をとって、右手でドアノブを操作し、左手でコントローラーを操作する。少しだけでも出てしまえばよいのだから、あとはゆっくり手で車いすを操作する。ドアは障害物(誰が障害物やねん)さえなくなれば、ひとりでに閉まるから、ただ抜ければよい。

3番勝負 総合判定

というわけで、入って使って出たのだが、苦労はあったけど、使えたからドローということにしよう。負けは使えないときというのはわかるが、どうやったら勝ちなのかが自分でもよくわからない。「苦労したらドロー」ならば、世の中大体のところはドローである。

痛み分け?

それよりも、今回この貸コテージにとまったのが4月29日、帰ってきたのが翌30日。つまりワタクシの5月の連休の予定は、5月になる前に終わったというのが、一番の由々しき事態なのであった。

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