思い出の大切な人

10年程前職場で倒れ、長期入院を余儀なくされ、絶望に打ちひしがれていた時、1人の学生に出会った。
聞けば重病の為入退院を繰り返していたようだ。
それにも関わらず彼女は辛抱強く心優しい人だった。
ある日病棟のテレビで野球中継を見ていた時、扉を叩いて不意にこう言ってきた。
「へーお兄さん野球好きなんですね?どこのファンなんですか?」と。
ぶっきらぼうに「は?タイガースだけど!何!?」と答えると彼女は怒りもせず「珍しいですね!私はドラゴンズなんです!」とフレンドリーに答えてきた。
お互いの話をした後、彼女はこんな質問をしてきた。
「お兄さんいつも1人ですけど寂しくないですか?なぜみんなと話さないのですか?」と。
今までストレートな質問をされた経験がなかったので正直驚いた。
そして思わず感情を抑えきれず「学生時代、とある事件を経験して友達に裏切られ、人を信じられなくなった」と言ってしまった。。。
驚いた事に彼女は反論もせず「そうだったんですか。なるほどね」と受け流してくれた。
それからというもの毎日というわけではなかったが時間がある時には色々な話をしたものだった。
退院後は会う事は無くなったが今でも大切な人の一人である。

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