01/09/13 (木)更新

羽ね屋敷物語

〜羽ね屋敷との出会いから契約までの物語〜

第1話
 名古屋市から作業所の補助金が下りることが決まり、早速僕は新事務所として使えそうな建物を探し始めた。新事務所に対するみんなからの一番厳しい条件は「御器所駅から徒歩10分以内」ということだった。 御器所周辺の不動産屋を何軒も回ったが、思うような物件には巡り会うことができなかった。空き家になった建物を足で探し、持ち主に直接交渉してみようと思い、御器所駅周辺を歩き回り何軒かめぼしい建物を見つけた。事前に作っていったチラシをポストや玄関に挟み、連絡が来ることを祈って待つことにした。その中でとても気になる魅力的な建物があり、僕は心の中でそこが借りられればと思っていた。

  しかし何日経ってもどこからも連絡はなかった。あきらめかけていたある日、僕はその気になっていた建物の前を通った。するといつもその建物の玄関先に駐車していた一台の車が、その日はすぐ近所の家の前に停めてあった。その家はちょっと変わった雰囲気を漂わせていた。家と道路とのほんの50cmほどの空いたスペースに丸太を彫って作られた仏像や看板が所狭しと並んでいて、まるでそこだけがフリーマーケットかお祭りでもやっているような不思議な空間になっていた。もしかするとあの建物の持ち主かも知れないと思い、意を決してその不思議な家を訪ねた。