ヒアリング内容


名古屋北歯科医療センターへ、ヒアリングに行ってきました。
歯科医師 片浦貴俊さん、歯科衛生士主任 澤田育子さん、
事務長 佐藤安寛さん にお話を聞きました。(取材:2009年9月15日)
名古屋歯科医療センターがどんなところなのか、
またどんなお医者さん、スタッフさんが働いているのか等、紹介します。




歯科医師 片浦 貴俊さん プロフィール

歯科暦 障害者歯科医師歴 5年
生年 1976年生まれ
モットー

「全て受け入れたい」


「地域医療・障害者歯科医療の発展に全力を尽くしたい」

名古屋歯科医療センターについての情報は こちら


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ヒアリング内容 目次

Q:歯科医療センターはどのようなことをしているのですか

Q:現在のスタッフ体制をおしえてください

Q:どのように治療を行っていますか サポートについて


Q:患者さんの治療にあたり配慮していることはありますか


Q:患者さんとコミュニケーションをとるために工夫していることはありますか


Q:一日にどのくらいの患者さんを診療していますか。また初診についても教えてください


Q:レントゲンを撮るときのサポートはありますか


Q:全身麻酔をしての治療は行っていますか


Q:患者さんへの治療以外の対応を教えてください


Q:患者さんの治療やサポートをしている中で、うれしいときはどんなときですか


 
感想 ヒアリングを行って感じたこと


Q:歯科医療センターはどのようなことをしているのですか
A:

主な内容は、

(1)障害者歯科診療、
(2)休日急病歯科診療(名古屋市歯科医師会会員による輪番制)、
(3) 歯科衛生士学校の実習生受け入れです。

主な治療として、
保険が効くもの、虫歯、歯周病などを行っています。
インプラントなどの口腔外科、全身麻酔が必要な場合は大学病院等にお願いしています。

Q:現在のスタッフ体制をおしえてください
A:

一日当たりのスタッフは、

歯科医師 4名 (常勤 1名、非常勤 3名)、
歯科衛生士 8名 (常勤 6名、非常勤 2名)、
心理相談員 1名 、受付 1名 です。
事務部門として 2名 (事務長 1名、事務員 1名)います。

Q:どのように治療を行っていますか サポートについて
A:

ケアカウンセリングを行い、患者さんの状態に合わせて治療を行います。

ケアカウンセリングとは治療がはじまる前に、治療を行う医師やその補助に入るスタッフを集め、本人や家族をまじえ、みんなで治療の目的や内容、注意点などを確認しあい、情報を共有することです。

まず治療スタッフが患者さんを落ち着かせてから、診療台に座らせることから始めます。
治療の際、患者さんがコミュニケーションを取れなかったり、急性症状がある場合、治療中に患者さんの様子を見て、
怪我をする危険性があると判断したときは、患者さん自身と治療する側の安全のために安全ベルトを付けることがあります。
また、専門スタッフがヘッド固定(患者さんの頭部等を抱きかかえる)など行い事故を防止します。
治療では鋭利な道具、歯を削るための強力なドリル等を扱うため、動くと舌(ぜつ)、口腔内を傷つける恐れがあるためです。
病院とは連携しているものの、併設していないため、怪我をしたときに適切な処置が出来ないという事もあり、患者さんが安全に治療を受けられるようにするための一つの方法として行っています。

Q:患者さんの治療にあたり配慮していることはありますか
A:

必ず専門のスタッフが付いて、患者さんの対応が出来るようにしています。
患者さんによっては噛みついてきたり、引っ掻いてきたりする方もいるためです。
できるだけ専門のスタッフが寄り添い、その患者さんにとってより適切な治療法を模索しています。

Q:患者さんとコミュニケーションをとるために工夫していることはありますか
A:

診療台は4台ありますから、それぞれに番号の書いたプレート(ハート、ダイヤ、クローバー、スペード)を天井からぶら下げ、診察を受ける人に分かりやすくしています。「何番の診療台に行こうね」と案内します。

患者さんに、より安全で的確な治療を行えるよう、また患者さんに「歯医者は怖いことをされるところ」と思われないような治療をするために次のような工夫を行っています。

tell show do法…これから何をされるか不安な患者さんに治療の内容を、
  ・口頭で説明し(tell)、
  ・方法を見せて(show)
  ・実際に行っているところ(do)  を見て、納得してもらう治療法。
テンカウント…10数えて、数え終わったら休憩しよう、という方法。
カードを見せて、これから何をするのか視覚を使って伝える方法。


口を開けていられる患者さんとそうでない患者さんがいるので、方法を変えながら治療しています。
歯科の道具は先の尖ったもの、金属製のもの…といかにも痛そうなものが多く、そんなものを大事な口の中に入れるなんて、誰でも嫌です。
泣いてセンターから飛び出て行ってしまう、なんてことがあったら、次の治療につなぐことも出来ません。
ですから私たちはそんな患者さんの緊張をほぐしながら、安全に、最後は笑顔で帰れるように心がけています。

Q:一日にどのくらいの患者さんを診療していますか。また初診についても教えてください
A:

1回30分で、1日平均20人前後を診療しています。
飛び込みもありますが、受け入れて治療を行います。しかし次回からは予約を取ってもらうようにしています。
火曜日を初診の日とし、1時間とっています。初診といっても、様々なケースがあるので、治療や対応について話し合い等行っています。また午後も、患者の親御さんと心理相談員(ソーシャルワーカー)が話し合い、今後の治療の方針などを決めていく時間も設けています。
土・日にも開設しているのは、土日にしか来られない患者さん、そしてその親御さんが多いためです。

Q:レントゲンを撮るときのサポートはありますか

A:
車いすに乗ったままでも撮れるようにスロープを用意しています。
撮影時動いてしまう人はスタッフが後ろから支えて撮影します。

Q:全身麻酔をしての治療は行っていますか
A:
必要性は感じており、検討はしているところですが、次のような課題が多いのでなかなか行えないのが現状です。

全身麻酔の専門家がいない
全身麻酔をしたあとの予後の問題がある
万が一のことがあった場合、病院のバックがない (事故が起きないよう細心の注意が必要)
笑気もやってはいたが、余り身体に良くないということで行っていない
北歯科医療センターはスペースが狭いため、麻酔後、意識が戻ってから寝ていてもらうベッドを置く部屋がない

看護師に管理を任せている所もあると聞きます。東京、横浜、関西では大きな設備で行っているので全身麻酔で治療を行えるようです。
いずれ北歯科医療センターも施設拡大のため移転を計画していますが、財政の問題でそのような設備が整えられるのかは何とも言えない状態です。
しかし、将来的には行えるように目指しています。

Q:患者さんへの治療以外の対応を教えてください

A:
本来は北歯科医療センターだけではなく、自分の通いやすい診療所に行ってもらって治療を受けてもらえれば、というのが理想なのですが、患者さんと診療所の相性、診療所自体の設備、先生の受け入れ等あり、実際では難しいのが現状です。
患者さんに通院しやすい診療所を勧めるようにしていますが、患者さんが北歯科医療センターに通いたいという要望があれば通ってもらっています。
北歯科医療センターで治療に慣れ、一般歯科に行っても大丈夫と判断した場合、一般歯科を患者さんに紹介し、必要であれば紹介状も書きます。
軽度の人は一般の受け入れてもらえそうな歯科医を紹介しています。

Q:患者さんの治療やサポートをしている中で、うれしいときはどんなときですか

A:
大変なこともありましたが、感動したことも多かったです。

患者さんから、
「歯医者は怖くない。ここのお姉さんたち(スタッフ)はやさしいから」
って言われたときとか、いろいろありますよ。

最初は拒否が強かった患者さんが、上手に歯科治療を受け入れてくれるようになったこと。
(ゆっくりですが患者さんが成長する姿が見られることです。)

なかなかコミュニケーションをとることは難しいのですが、
その中で患者さんと一瞬通じ合う時があること。

治療を受けていた患者さんが亡くなられた時、ご両親がお見えになり
『亡くなった時、看護師さんが「歯きれいね」と言ってくれました。本当に、ありがとうございました。』
とおっしゃった時はジーンと来ました。

患者の介護者から、
「センターでの治療のおかげで他の科へも受診が可能になりました。」
と感謝された時はやりがいを感じました。

患者の介護者から
患者が喜んでセンターに通院すると聞かされた時は、うれしかった。

 本日は ありがとうございました。
 

 感 想  (NPO法人くれよんBOX 職員 有山)

 ヒアリングをさせて頂く中で、患者さんが治療に対して「怖い」という思いを
極力させないようにさまざまな工夫、そしてその患者さんに対してどのような治療が
最もふさわしいのか、患者さんのご家族とカウンセリングを行い治療するなど、
患者さんのことを常に考えて仕事をされている先生方の、仕事に対する情熱、
「全て受け入れたい」・「地域医療・障害者歯科医療の発展に全力を尽くしたい」という
強い思いが伝わってきました。

 歯は、生きていく中で生命維持に必要な「食」に関わる最も必要な器官です。
歯がなければ摂取した食事を十分に消化することもできなくなり、
更に悪化すると、しゃべることもままならなくなる。更に、口内の雑菌が増え
最悪の場合、誤嚥(ごえん)性肺炎なってしまいます。
その分歯のケアが重要となってくるのですが、一人では管理が難しい方もいらっしゃいます。
そんな方のサポート役となり、歯の健康を守る歯科という職業は、その人の、人生を支える
重大な仕事だと思います。

 私は、介護福祉士の資格を取るため、老人ホームで実習を何度かさせて頂いたことが
あるのですが、口を使って食事をとることが出来なくなり、胃に穴を開けて食事を取っている人は、
やはり何となく精気がなく、一方ご自分で歯を使って食事を取られている方はとても元気な方が
多いのを感じました。
老人ホームでも、月に1、2回歯の定期健診を行う、歯科衛生士さんが順番に利用者さんの歯を診察、
ケアするなど、口腔ケアに力を入れている施設も多くありました。

 年をとっても、歯は生きている間は誰でも必ず必要となります。
そんな歯がもし悪くなってしまい、十分なケアを受けることができなかったとしたら。
出来れば一生歯を健康に保ち、使い続けていきたいものです。
そのためにも、特に自分での歯のケアが難しい方のために、
名古屋歯科医療センターさんのような、その人に沿った治療を
行える施設がもっと必要だと感じました。